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理事長所信

1、はじめに

 「青年会議所は社会勉強になる団体で、仲間もできるし仕事にもつながるから、絶対に入会したほうがいい。」と何度も熱心に先輩方から誘われ、特に目標や志もない漠然とした生活を変えたいと思い、青年会議所の門を叩いた。私の入会動機である。

 青年会議所に入会した動機や目的は、人それぞれ違うだろう。学びたいという人もいれば、社業に活かせる人脈を増やそうとか友達を増やしたいといった目的も大いにあると思う。ただどのような入会の動機であれ、地域のための活動を続けていく中で、自分自身の活動の目的が少しずつ変化していることに皆さんは気付いてはいないだろうか。自分のために入会したつもりが、いつの間にか仲間や地域のためと目的のベクトルが自分以外の何かに向けられていることに。

 私たちは、「明るく豊かなとなみ野の実現」を目指して、地域の様々な課題を本質レベルまで深掘りし、解決に導く活動をしている。地域のために何ができるのか、何をすべきなのかを議論し計画を立て、市民や団体、行政に共感の輪を広げながら解決に向けた歩みを進めていく。私たち青年の英知と勇気と情熱を結集した活動はやがて市民や行政を巻き込んだ運動となり、地域を動かすほどの大きな力になるのだ。地域の課題について仲間達と時間を忘れるほど語り合い、計画した事業を達成するために共に汗を流し、より良いものとするために熱い想いをぶつけ合う。こうした機会が数多くあるからこそ、会員それぞれが持つ考え方や価値観が変化する。つまり、地域にインパクトを起こすことができるのが青年会議所であり、人を変えるほどのインパクトがあるのも青年会議所なのだ。これこそが青年会議所が地域に提供している価値の根源だと、私は信じている。

2、リーダーシップが地域を導く

 青年会議所の活動に限らず社業や地域活動においても、集団が物事を成し遂げるためには、方向性を定め決断し人を統率することで、理想とする形へと導くリーダーが絶対に必要だ。しかしながら現代は少しの失敗や行き過ぎた行為が社会から叩かれ、叱ることや注意することもパワハラと受け取られないかを探るような時代である。この息苦しさと難しさを感じる時代背景において「リーダーになりたがらない若者問題」とメディアが取り上げるように、私たちの住み暮らす地域社会の様々な場面においても、リーダーの担い手不足からリーダーの押し付け合いや責任感のない形だけのリーダーを選ぶといった問題が発生している。

 第二次世界大戦後の東京で「新日本の再建は、我々青年の仕事である」と立ち上がった青年らによって青年会議所の礎が築かれ、日本全国に運動が広がっていった。この運動の根幹にあるものは、青年らの強烈な当事者意識と圧倒的なリーダーシップだ。その精神はとなみ青年会議所にも伝播し、間違いなく今も息づいている。青年会議所はリーダーシップを養う最高の訓練の場である。私たちJAYCEEの責務として、誰かが先頭に立ってやらなければならないのであれば、率先して自ら立ち上がろうという自覚を持つことがまず必要だ。そしてリーダーとして活躍するための素養を身に付けていかなければならない。

 企業活動や地域活動、またはスポーツの世界であっても、リーダーは成果や目的達成を求めることが大前提にあるが、そのために人を指導し、動かす事がリーダーシップの本質だ。その上で自分が目指すリーダー像を描くことが重要である。一人ひとりがリーダーとはどうあるべきかを考え、行動を変えていこう。

3、地域にインパクトを! 

 私たちの活動をより良いものとするには、地域との密接な関係が不可欠である。密接な関係を構築するには、青年会議所の存在を認知してもらい、活動に理解と賛同をいただくこと、つまり地域からの共感を集めることだ。地域をより良くしたいという私たちの活動の想いを多くの人に知ってもらうことで共感の輪が生まれる。人々を巻き込むことで、活動が運動となり、地域を変える大きな力となる。青年会議所が運動の中心になることで、地域における青年会議所の存在感が高まり、地域から注目される組織になるということだ。

 長引くコロナ禍により、地域の様々なイベントや祭礼などが長らくできていない現状がある。その間に、「やらなくてもいいのなら、やらないでおこう」「この際だから終わりにしよう」「何かあったら誰が責任を取るのか」そんな言葉を地域で何度も聞いた。時代の変遷で本来の目的が変わってしまい、義務感だけでやっていた行事や時代にそぐわない行事が淘汰されることは必然ではある。しかしながら地域にとって本当に必要だった機会までもが失われ、人々のコミュニケーションの機会が縮小・消滅へと向かい始めている。一方でとなみ青年会議所に目を向けると、どうすればできるかを常に模索し、できることを可能な限り行ってきた。しかしながら中止や縮小を余儀なくされた事業もあり、地域と関わる機会が少なからず減ってしまったことも事実である。このように様々な機会が減ってしまった昨今ではあるが、コロナ禍が明ければ機会が元に戻るというものでは決してない。人々を行動へと導くきっかけが必要だと考える。

 世の中が混沌とし、地域が活力を失いかけている今、より良い方向に地域を動かすためには人々が自ら立ち上がろうという意識に変えていかなければならない。そして意識を変えるためには心を動かさなければならない。そこで重要となるのは感動だ。人々を行動に突き動かす原動力となるのは、心と心の衝撃的な出会いである。青年会議所が地域に感動をもたらすインパクトを与え、地域を呼び起こす起点になろう。感動によって地域の人々の意識が変われば、行動が変わり、地域が変わる大きな力となるはずだ。

4、地域社会が青少年を育む

 となみ野がこれからも持続可能な地域であり続けるための一つの答えは、地域のために行動できる人間を育み続けることだ。行動の原動力となるのは、地域への愛着があってこそだ。そして地域を想う心は一朝一夕で育まれるものではなく、青少年期からの地域社会や人との関わり合いが不可欠だと考える。となみ野の青少年を取り巻く環境に目を向けると、情報端末への過度の依存や価値観の多様化、コロナ禍といった様々な理由により、青少年の地域社会や人と触れ合う機会への興味や意欲が薄れてしまった現状がある。そして自分が生まれ育った地域への愛着、すなわち郷土愛の希薄化につながっている。その結果、地域の担い手となる若者を育成できていないことが問題となっている。郷土愛があふれる地域は、長い目で見ると、地域のことに対して一生懸命に行動できる人間が増える。したがって郷土愛を育むことが地域の持続可能性を高める大きな下支えとなるのだ。

 青少年の郷土愛を育むには、まず青少年期から地域社会と学ぶことが必要である。地域の特徴や歴史を伺い知ることで郷土への理解が深まり、地域の人々と深く接することで郷土への愛が深まるのだ。また青少年期の人間的成長の土台として、地域の大人とのつながりは大変重要な機会だ。地域の大人と接する中で人間関係の築き方から礼儀や礼節、心意気を学ぶことができる。そして地域社会の一員として、大人が仕事や地域行事で責任とやりがいと熱意を持って取り組む姿を示すことは、青少年にとって最高の学びだ。青少年が大人に混じり、地域の一員として、行事やイベントに参加する中で、人に頼られることや応援されることでやりがいに繋がり、地域が自分にとっての心の拠り所となる。その結果、郷土愛が育まれるのである。私たち青年会議所が青少年を育成する意義は、地域のために汗を流す大人として、憧れとなる背中を見せることにある。そしてとなみ野の未来を担う青少年を健全な育成に導く環境を整えることは、責任世代である私たち青年の責務である。青年会議所は地域の様々な人や機関、行政と連携して事業を推進できる力を持った団体だ。地域の持続可能性を高めていくため、その力を最大限生かした事業を行なうことが青年会議所にしかできない青少年育成事業なのだ。

5、組織をブランディングする

 となみ青年会議所は「明るく豊かなとなみ野の実現」の理想のために、地域に根差した運動を行っている。この運動の源泉となるのは、地域を想う人の情熱だ。私たちの活動に賛同し、仲間となって志を共有し活動をする中で、地域への情熱が生まれる。情熱が多く集積することで組織の大きな力となり、地域に対してより大きなインパクトを与えることができるのだ。そのためには、私たちの活動に対して地域からの理解と賛同を得ることが不可欠である。つまり青年会議所を「共感を集める組織」にブランディングすることがカギになる。共感を集める組織になるためには、となみ青年会議所を地域に広く知ってもらう必要がある。私たちの活動は間違いなく地域の未来をより良くするための活動だ。地域に広く知ってもらうことによって地域から興味を持ってもらい、私たちの活動への想いを伝えることで共感につなげていかなければならない。SNSによる広報が発達し、情報伝達が容易になった現代だが、情報が溢れ返り、伝えたいことが埋もれやすい面もある。したがって会員一人ひとりが積極的に、身近なところから青年会議所の活動や想いを伝えていくことが情報媒体を使う広報に加えて重要となる。全会員がとなみ青年会議所の広告塔であるという高い意識を持つために、常に私たちは活動への理解を深めなければならないのだ。

 また地域からの共感を集めることは、同志となる新たな仲間を広げることにもつながる。人々との出会いの中から新たな共感が生まれ、仲間になる。活動を共有することで地域への情熱を育み、仲間との絆が生まれ、同志となれるのだ。地域への情熱は青年会議所活動に一生懸命取り組むことで育まれると考えるが、となみ青年会議所ではアカデミー委員会において一年を通して活動するための基礎を学び、会員同士の絆を育むことで、組織への定着を盤石なものとする仕組みが構築されている。このように会員の教育を大切にする文化がとなみ青年会議所の大きな強みであり、新入会員をフォローアップする仕組みがあるからこそ、私たちは自信を持って会員拡大に邁進できるということだ。また会員拡大を行なっていくために今すべきことは、地域を少しでも良くしたいと思う人材に一人でも多く出会う機会を創出し、地域への想いを語り合うことで共感につなげていくことである。となみ野には私たちにとって未知なる出会いがまだたくさんあるはずだ。

 地域を良くしようという団体が衰退するということは地域が衰退するということだ。地域を良くしようという団体が消滅するということは地域が消滅に向うことにつながる。だからこそ地域を良くしようという団体を無くしてはならない。そのためにも地域からの共感を集める団体であり続けなければならないのだ。

6、青年会議所のダイナミズム

 世界112カ国に青年会議所があり、約15万人が活動している。日本においては約700の地域に青年会議所が存在し、約3万人の会員が志を同じくして活動をしている。世界でこれほど大きな規模の青年団体は青年会議所しかない。国連マークが付されたJCバッジの力は、世界における青年会議所の立ち位置を示し、青年会議所のダイナミックなスケールを物語っている。

 青年会議所が与える大きな成長の機会として、JCIをはじめ日本青年会議所、北陸信越地区協議会、富山ブロック協議会への出向の機会がある。また世界会議やアジア太平洋会議(ASPAC)、JCI日本の三大大会をはじめとする各種会議や事業はLOMのスケール以上の大きな学びや交流が得られる特別な機会だ。青年会議所の活動は、まずは参加することから全てが始まる。「ちょっと無理して出掛けてみよう」の精神で、期待する以上に素敵な出会いや新しい学びがきっとあるはずだ。

 また今年度も多くの会員が各地へ出向する。出向者においては地域のためになる学びを獲得していただくため、担いに向き合い、楽しみながら懸命に活動していただきたい。そして出向者を皆で応援しよう。それが出向者の活躍の原動力となり、学びを持ち帰ることで組織の活性化につながり、地域に還元され、次の世代への希望につながるのだ。

7、さいごに

「苦しいことや自分に不向きだと思うことも、すべて楽しんで活動できていますか?」と私は皆さんに問いたい。

 青年会議所の大きな醍醐味は同世代の仲間と切磋琢磨し、時間と志を共有することで、かけがえのない友情が生まれる。仲間意識が組織への帰属意識につながり、組織が強固なものとなる。強固な組織は一体感を生み、それがまた仲間意識を強くさせる良い循環が起こる。

 その根底にあるのは全会員が楽しく活動をすることにある。地域をより良くするということは面白い変化を起こすこと。面白くするための仕掛けを考えるために、楽しく前向きに活動しよう。

 2023年12月31日、2024年に日付が変わるその時まで、どれだけ楽しんで、どれだけ大きくなれるかは、一瞬一瞬の心掛けにかかっている。

2023年度、全会員で、最高にインパクトのある一年にしよう!